窓を考える

「窓は空間を決める最も大切な要素です」

雑誌BRUTUSの最新号、美しい建築と窓。はこの一節から始まります。

そんな大切な窓をつくっているメーカーのひとつ、YKKAPさんの展示会にお招き頂き、久しぶりに東京へ行ってきました。

最新の技術に関するブースや、新商品の展示の数々。

そんな中での私の一番の目的は、伊礼智さんと松尾和也さんとの対談でした。

印象に残った言葉を少し。

伊礼さん
「窓は性能だけでなく外との繋がりも大事。先人から受け継ぐものを大切に。例えば 永田昌民さん。窓の位置をどう決めるか?遠くが見える、開けっ放しができるなど。」

「ひとつひとつの窓を練って役割を持たせること。例えば日射遮蔽なら、そのまま使わずにガラリを仕込む、障子、ハニカムを仕込むなど、一手間を加えることが設計者のつとめ」

松尾さん
「値段を下げるため、断熱性を上げるために窓を小さくしよう、という傾向がある。
夜の商売のお店かな?と感じる暗い家が結果として増えている」

「リアルに実物を見に行っている人は?とセミナーで聞いても手が上がらない。
伊礼さんは今でも建築を見に行かれている。
“目を養い手を練れ”をどれだけの人が実践しているか?」

ということで、YKKAPさんの展示をひと通り拝見したあと、楽しみにしていた成城にある猪俣邸へと足を運びました。

猪俣邸を設計した吉田五十八さんは、私たちのブログでも度々出てこられる、数寄屋建築の近代化に貢献した建築家です。

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何十年経過しても素敵な家
東山旧岸邸
東山旧岸邸2

庭に面した大開口だけでなく、こんな小さな地窓にも、板戸、無双窓、網戸、ガラス戸、障子。

庭の木々を眺め
外からの視線を遮り
新鮮な空気を取り入れ
荒天から家人を守り
守りつつも涼やかな風を通す

窓の持つ役割とは何か、外との繋がりとは何なのか。

この地窓に仕込まれた5つの建具が、その答えを示してくれているようです。

吉田五十八さんの設計された窓は、まさに役割を練り、手間を加えられていました。

先人の試行錯誤は、住まい手の居心地の良さを求めてのことでした。

最新の技術、気候の変化、あたらしい価値観。

それだけにとどまらず、窓がもたらす心地よさを忘れずに、より良い家を追求していきたく思います。

鈴木

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