秘密の通路

静岡県掛川市にある指定有形文化財の松本家(たけのまる)に行ってきました。

この地域は掛川城内にあり天守閣や本丸などお城の中心部に通じており、以前は防衛拠点の役割を担っていたようです。
建物は木材を上手く使っており、建具や取っ手などの小物に至る所まで美しく、手がけた職人のこだわりが強く感じられました。                                                                  二階には貴賓室があり、高貴な方を招き入れる為の空間になっておりました。
天井には幅広の杉材が用いられ壁にはかねてより遠州地方が産地である葛布が張ってありました。
その効果もあり室内は全体的に味わい深くなっていると感じられます。
ガラス戸の上には装飾用のステンドグラスもあり、大正時代の建物ではありますが今も変わらず重厚感がある造りとなっておりました。
                                                                      貴賓室の隣には控えの間があり、この部屋の一部の畳をめくると床板が外れ床下に入って行けるようになっており、そのまま外壁につながる脱出口から外へ出られるような工夫がされておりました。
高貴な人を招いた際に難を逃れる為の仕掛けだったのではないかと思います。
なぜ必要だったのか詳細は不明ですが、先人達の知恵と工夫を感じる事ができます。
そして造り手はどのような想いで手掛けたのかと想像するだけでも胸が踊りますね。
                                                                                                                                      横長の小さな窓が脱出口です。かなり小さめですね。                                                                              脱出口ではなくても、独自のこだわりや工夫がなされている事で家造りの過程や今後の暮らしがより豊かになると考えております。

鈴木清澄