自分の山の木で家を建てる

「所有している山の木を家に使いたいんですよ」

家づくりのお話しを伺った際にお施主様から
こんなご相談を受けたことがあります。

建築地から少し歩いたところにある山の中へ
下草の枝葉をかき分けながらヘルメットをかぶり長靴を履いて
お施主様の後をついて斜面を歩いていくと
大人がぎりぎり手がまわせるくらいの桧があり

「これがいいかなと思っています」と。

その他の候補の杉なども含め数本見せていただき、
ご自宅のそばにある大きな楠も台風などが心配なので
この機会に伐採したいとご相談いただき、
母屋の解体のタイミングに合わせて伐採しました。

解体時でないと近くまで車両を寄せられないので
結果、建て替えが良いタイミングだったと思います。

家に使う材に関しては切り旬(木が水分や養分を吸い上げない休眠期)
にするため年間の計画を伐採時期を元にいつから工事できるかが
決まり、長期スパンでのご計画となりました。

杉や桧を挽くのは普段からお世話になっている製材業者さんへお願いし、
楠(広葉樹)を挽くことができる製材業者さんを探し、運び込みました。

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厚みをどれくらいで挽くかなどはその場で相談にのっていただきながら、
数枚の板に挽き、数年の乾燥期間を経て、身内の方々とで
気に入ったものを選び各ご家庭に持ち帰って記念として
家具にしてお使いいただいております。

最終的に杉と桧の丸太は、大黒柱、化粧の管柱、玄関式台、
応接土間のすのこ、腰板、デッキのすのこ板など
住まいの様々な場所へ行き先が決まりました。

今年で築8年目、先日点検のためお施主様のお嬢様と
楠の大きなテーブルを囲んでお話ししていると建築当時の
様々な思い出をお話しいただき、ご家族にとっても過程が心に
残るものだったのだなと思いました。
そのころ小さかったお子様も、今は野球少年。大きく成長されていました。

点検を通して、ふと当時のことを思い出して振り返ってみました。
もし弊社にご相談いただく際、(こんなことを相談してもいいのかな)
と迷われている方がいらっしゃいましたら、実現できる可能性もあるので
お話ししてみていただけたらと思います。

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山口江梨子

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