ふつうのいえ

皆さんは「ふつうのいえ」と聞いて、何を想いますか?もしも設計者に「普通の家を建てましょう。」と提案されたらどうでしょうか。

「普通の家より、自分たちだけの特別な家にしてほしい!」「特にこだわりはないから普通の家で十分。」いろんな想いがあるでしょうし、その想いはどれもよく分かります。

、、、ところで、その「ふつう」とはいったい何なのでしょうか。人によって「ふつう」は違うのではないでしょうか。特に、日常生活においては「ふつう」の違いがよく現れているように思います。

例えば、朝はパンを食べるのが「ふつう」の人もいれば、ご飯が「ふつう」の人もいる。家でくつろぐときは、ソファに座って過ごすのが「ふつう」の人もいれば、床にごろんと寝転がるのが「ふつう」の人もいる。

家づくりにおいて大切なことのひとつに、住まい手それぞれの「ふつう」を叶えることがあるのではないかと思います。

日常生活を穏やかに過ごせる家、より豊かに過ごせる家、気分が良いときも、落ち込んでいるときも、どんな時でも「ふつう」に過ごせる家。

特別な家を望むからといって、なにも、奇を衒ったものやデザインを取り入れる必要はなく、住まい手の「ふつう」を取り込んでいけば、それがその家の個性になり、「特別」になるのではないでしょうか。

住まい手の「ふつう」がつまった家。それはきっと、とても特別な家。

わたしはやっぱり、「ふつうのいえ」を設計したいのかもしれません。

藤井南帆

スタッフ

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