2022.07.15 施工中 給足の家 #02 施工中の様子

計画編に続き、今回は躯体工事についてお話します。
計画地はご実家の敷地を分筆した土地で、お子様世帯の新築住宅を施工します。
親子が隣り同士で暮らす、二世帯近居のかたちです。

ご実家の隣に建っていた倉庫を解体しました。
地鎮祭を行い、建築工事が始まります。

基礎が完成したところ。
基礎から出ている棒は「アンカーボルト」といい、長いものは「ホールダウン金物」といいます。
地震時に建物と基礎が分離しないこと、地震力を基礎に伝達することを目的として、ボルトによって建物と緊結します。

また、かかる負荷が大きい箇所は「ホールダウン金物」を使用し、基礎と柱とを緊結します。
そのため、基礎も構造計算をしています。

上棟後の外観。
外壁は構造用面材で覆っています。
家の手前のスペースは庭と車の進入路になるため、広く空けています。

構造計算ソフトで作成したイメージ。「軸組図」といいます。
延床面積は約30坪の家ですが、構造材だけでこれだけの木材を使用します。
アンカーボルトの位置もプロットされていますね。

上棟時の様子。
上棟時は専属の大工が7~8人集まり、2日間で骨組みを完成させます。

最頂部の梁「棟木」の施工状況。
私たちは主に地元の天竜材を使用しています。
長い材料が必要な部分は「継ぎ手」という技術を用いて梁を繋げます。
ジョイント部分が構造的に弱点になり易いため、細かな加工を施し、揺れや引き抜きに強い形状とします。

「日本の建築の強さは継ぎ手の技術にある」といっても過言ではないくらい、実証実験でも強度が確保できる結果が出ています。
金物を使用して材料を継ぐことも可能ですが、私たちは古くから使われてきた技術を大切にしています。

梁の断面です。
丸太の芯を外しているのが分かりますでしようか。
これは「芯去り材」という製材の方法です。
芯のある「芯持ち材」と比べて経年による変形や割れが少ないのが特徴です。
大きな丸太が必要になりますので、芯持ち材に比べコストはかかりますが、「丈夫で長持ちする住まい」を体現するために拘っている部分です。
全棟、可能な限り全ての梁はこの芯去り材を使用しています。

玄関ポーチの屋根。
玄関扉を木製にするため、雨がかからないよう大きく屋根を架けます。

屋根が架かりました。
他の屋根とは勾配、高さを変え「低く、緩く」軒を出しています。

軒裏は旅館や料亭をイメージしています。
手を伸ばせば届くぐらい目線に近い位置のため、材料は細く、節の無いきれいな材を選定しています。
ここが人を迎えるこの家の顔になります。

この家にもともとあった井戸。
こちらも日常的に使用できるものとして計画しています。

井戸の表面は古くて脆いため、傷つけないよう注意して周辺に基礎を施工します。

玄関ポーチを伸ばし、井戸にも屋根を架けました。
手洗いとして使用できるようにするため、現在庭師と計画を詰めています。

上棟後の内部。棟梁が床下地を施工しています。
南面の大きな窓が特徴です。

床下地ができると写真でも広さが把握できるようになります。
家の構造がそのまま部屋の形状となる、シンプルな構成です。
そのため、窓の外に見える景色がとても重要になります。

計画時のイメージ。
両側の壁にはカウンター収納やテレビボードが付き、
間接照明を主体として、部屋全体をほんのりと照らします。

工事はまだ中盤ですが、この下地工事の良し悪しが最終仕上がりに影響します。

私たちの専属大工をはじめとする職人が、日々丁寧にしごとをしています。

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