「呉松町の家」は上棟が完了し、現在は内部・外部の下地や配線等設備工事を進めています。
今回はこれまでの工事(工事着手から躯体工事)の様子を紹介します。
※建築計画についてはこちら
↑工事着手前
造成工事と地鎮祭を行い、建築工事が始まります。
基礎工事に先駆けて地盤補強工事を行います。
建物の構造計算が重要なのは言うまでもありませんが、地盤強度の計画も構造計画では重要なポイントです。
高い耐震性能のある建物でも、地盤が軟弱であれば簡単に傾き、倒れてしまう可能性があります。
そのため、必ず地盤調査を行い、調査結果と計画建物の重量計算をもとに補強計画を行います。
この家では「鋼管杭地盤補強工事」を採用しました。
支持層(地盤が強固な層)まで届く長さに加工した鉄製の杭を地面に埋め込んでいます。
重機を使い、杭を回転させながら埋め込みます。
「打ち込む」のでなく「埋め込む」ことで、引き抜きに対しても強い構造になります。
杭工事が完了したところ。
施工箇所によって支持層の深さが異なる地盤であったため、杭本体の地面から出ている長さが違います。
(各杭は機械によって施工中に地耐力が測定されており、規定の数値を満たすとストップします。)
建物の長期的な荷重、地震等の短期的な荷重に耐えうるよう、杭の本数や配置バランスが設計されています。
この杭の上に建物基礎が施工されます。
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基礎も構造計算をしていますので、鉄筋の径や間隔、コンクリートの配合も管理しています。
コンクリート打設後は温度変化が少ない環境で保護します。
時間をかけてゆっくりと水分を蒸発させると、質の高いコンクリートが形成されます。
基礎工事が完了しました。
コンクリートの品質管理は建物の寿命に大きく作用しますので、天気も毎日気にしながら工程管理をします。
この後木材が搬入され、いよいよ上棟です。
柱を立て始めた状況です。
写真中央に梱包されている木材がありますが、これは1階分のみです。
こちらは柱。この家では約100本使用しました。
同じ気候で育った木材ですので、完成後の変形が非常に小さいという特徴があります。
こちらは登り梁。屋根を支える梁です。
先端に向かって細くなるよう加工してあります。
登り梁を取り付けたところ。
軒裏の板を施工したところ。
登り梁が等間隔に並び「日本の家」らしい軒下空間になりました。
先端に向けて徐々に細くすると、軒先がシャープな印象になります。
こちらは玄関ポーチの屋根。
水平梁を持ち出し、柱無しで屋根を支える構造「せがい造り」としました。
伝統的な木造建築で使われている工法の1つです。
登り梁は1階の屋根で採用しました。
2階は「方形屋根」といいピラミッドのような四角錐の形状をしています。
屋根頂点の見上げ。
各方位に軒が下がりますので、外壁の劣化対策として有効的なかたちです。
また、隣家の日照を遮ることもありません。
屋根防水下地工事まで施工したところ。
左右対称の屋根と窓。意識して設計しています。
2階のコーナー窓から。
周辺に建物の無い方向に設けましたので、視線が遠くまで抜けます。
レンガ造りの蔵も、他ではなかなか見られない光景です。
工事は中盤ですが、検討したものがかたちになっていく期待と喜びは日々感じます。
そして、これから施工される部分が計画通りで最善なのか、自問自答を繰り返します。
現場監理や大工職をはじめとした施工業者とも打合せし、施工計画に無理はないか、その後の工事に不具合が発生しないか確認します
設計担当、現場監理、職人。
良い家をつくるためには、この3者がきちんと連携することが大切です。