2022.07.02 施工中 呉松町の家 #02 躯体工事

「呉松町の家」は上棟が完了し、現在は内部・外部の下地や配線等設備工事を進めています。
今回はこれまでの工事(工事着手から躯体工事)の様子を紹介します。

※建築計画についてはこちら


↑工事着手前

造成工事と地鎮祭を行い、建築工事が始まります。
基礎工事に先駆けて地盤補強工事を行います。

建物の構造計算が重要なのは言うまでもありませんが、地盤強度の計画も構造計画では重要なポイントです。
高い耐震性能のある建物でも、地盤が軟弱であれば簡単に傾き、倒れてしまう可能性があります。
そのため、必ず地盤調査を行い、調査結果と計画建物の重量計算をもとに補強計画を行います。

この家では「鋼管杭地盤補強工事」を採用しました。
支持層(地盤が強固な層)まで届く長さに加工した鉄製の杭を地面に埋め込んでいます。

重機を使い、杭を回転させながら埋め込みます。
「打ち込む」のでなく「埋め込む」ことで、引き抜きに対しても強い構造になります。

杭工事が完了したところ。
施工箇所によって支持層の深さが異なる地盤であったため、杭本体の地面から出ている長さが違います。
(各杭は機械によって施工中に地耐力が測定されており、規定の数値を満たすとストップします。)

建物の長期的な荷重、地震等の短期的な荷重に耐えうるよう、杭の本数や配置バランスが設計されています。
この杭の上に建物基礎が施工されます。

基礎も構造計算をしていますので、鉄筋の径や間隔、コンクリートの配合も管理しています。
コンクリート打設後は温度変化が少ない環境で保護します。
時間をかけてゆっくりと水分を蒸発させると、質の高いコンクリートが形成されます。

基礎工事が完了しました。
コンクリートの品質管理は建物の寿命に大きく作用しますので、天気も毎日気にしながら工程管理をします。
この後木材が搬入され、いよいよ上棟です。

柱を立て始めた状況です。
写真中央に梱包されている木材がありますが、これは1階分のみです。

こちらは柱。この家では約100本使用しました。

サン工房では静岡県産の桧を使用します。
同じ気候で育った木材ですので、完成後の変形が非常に小さいという特徴があります。

こちらは登り梁。屋根を支える梁です。
先端に向かって細くなるよう加工してあります。

登り梁を取り付けたところ。

軒裏の板を施工したところ。
登り梁が等間隔に並び「日本の家」らしい軒下空間になりました。
先端に向けて徐々に細くすると、軒先がシャープな印象になります。

こちらは玄関ポーチの屋根。
水平梁を持ち出し、柱無しで屋根を支える構造「せがい造り」としました。
伝統的な木造建築で使われている工法の1つです。

登り梁は1階の屋根で採用しました。
2階は「方形屋根」といいピラミッドのような四角錐の形状をしています。

屋根頂点の見上げ。
各方位に軒が下がりますので、外壁の劣化対策として有効的なかたちです。
また、隣家の日照を遮ることもありません。

屋根防水下地工事まで施工したところ。
左右対称の屋根と窓。意識して設計しています。


2階のコーナー窓から。

周辺に建物の無い方向に設けましたので、視線が遠くまで抜けます。
レンガ造りの蔵も、他ではなかなか見られない光景です。

工事は中盤ですが、検討したものがかたちになっていく期待と喜びは日々感じます。
そして、これから施工される部分が計画通りで最善なのか、自問自答を繰り返します。
現場監理や大工職をはじめとした施工業者とも打合せし、施工計画に無理はないか、その後の工事に不具合が発生しないか確認します

設計担当、現場監理、職人。
良い家をつくるためには、この3者がきちんと連携することが大切です。

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