2022.06.15 設計中 上島の家_建築計画

『上島の家(仮)』の設計趣旨や詳細計画についてご紹介します。

計画地は浜松市中区上島。

浜松の中心部から5㎞程離れた、旧街道から一本入った昔からある住宅地の一角。
古くからの住宅と新しい住宅が混在する地域です。

敷地自体は広いのですが、周辺は建物が密集しているため、外部環境をどう取り入れるかがキーポイントとなりそうです。

建て主のご要望は・・・・

・夏、冬を快適に過ごせる家。
・皆が仲良く暮らせる家。

ざっくりと抽象的なご要望でしたが、今まで忙しく過ごしてきたシニア世代の夫婦が、ご主人のお母様と弟さんと程よい距離感でゆっくりと暮らす、四季を通して過ごしやすい住環境をご希望しているのだと汲みとりました。

また、計画にあたっては必須条件がありました。

・高齢世帯の建替えということもあり、心身の負担を考え、現在の住まいに住みながら建替えたいということ。
・数年後に、敷地内に長男世帯が住宅を建てる計画があるということ。

 

 

以上を踏まえながら、敷地の状況を精査していきます。

・敷地は東西二方向、道路に接しています。
現在は東側を『表』していますが、道路に接する幅が狭く表である印象は薄いです。逆に西側は『裏』ではありますが、駐車場があり開けていて明るい印象でした。

・現在の住まいは、主屋と増築部分、小屋が棟続きで繋がっていましたが、現状を確認するとそれぞれは構造上独立しています。よって、主屋だけ残せばご要望の『住まいながらの建替え』が実現できそうです。

・主屋だけを残した状態を想像して、新居を計画してみます。

・新居完成後、現在の主屋は解体するのですが、ある程度大きな敷地が残りますので、将来的な子世帯+αは十分に計画できそうです。

・道路は東西、二方向に面しますので、子世帯は東側の道路に接道することで法規制はクリアできます。
・ただし、旗竿上になっている為、車の乗り入れが限られてしまいます。
・そこで、敷地中央を駐車スペース+サービスヤードとすることで、子世帯が建った時の、共有空間・緩衝帯となるように考えました。

 

上記を整理し、敷地全体と建物のゾーニングを行いました。

全体計画においては、
・道路側には『パブリックゾーン』、敷地奥には『プライベートゾーン』を配置しています。
『パブリックゾーン』は、古くから繋がりのある近隣との関係性を密接に。
『プライベートゾーン』は、落ち着きと安心感を確保できる場所としました。

・親族が集まる機会が多い為、パブリックゾーンは日本家屋の典型的な『田の字形』の間取りとして、時と場に応じた柔軟な空間をつくれるようにしています。

・プライベートゾーンは、各部屋の独立性を高めていますが、お互いの気配が分かる程度のコンパクトな動線計画として『良い距離感』をもたせた計画です。

・外観は、道路面を平屋の寄棟屋根として周辺への圧迫感を軽減しています。
また、各軒の出を調整し、夏の日射遮蔽、冬の日射取得を考慮しています。

 

・玄関ポーチには、グッと軒先を下げた土庇を設けましたが、これは現在のお住まいの面影を残したものです。

内部イメージ

居間・食堂は、南面に大開口の窓を設け、庭と一体となるよう計画しています。
深い軒と、場面によって使い分ける障子・簾戸によって、光や温熱環境を調整できるようにしました。
また、造り付けの木製家具のボリュームが大きいため、天井・壁は漆喰仕上げのスッキリした空間構成としました。

居間と隣接する和室です。
仏間や客間としても利用するこの部屋は、漆喰壁と稲子天井が落ち着きをもたらします。
開口部は座ってちょうど良い高さとし、西日を遮りながら、視線を庭先に誘います。

玄関脇に『茶の間』を設けました。
現在の住まいで、ご主人のお母様が過ごしている部屋をイメージしています。
玄関や庭先から『こんにちは、ちょっと寄ったよ!』といった昔ながらのコミュニケーションができたら良いなと考えました。
また、天井の一部を折上げ、ハイサイドライトやエアコンを設置するスペースとしています。折上げた部分にはルーバーを設え、設備やサッシを上手く隠しながら室内環境を整えました。

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