設計作法『家づくりのモノサシ』

「快適な「住まいのイメージは?」と尋ねられて、明るく開放的な住まいを思い浮かべる方は多いと思います。つまり空間は広く、高く、明るくあれ、というもの。
事実、天井の高さを例にとると、建築基準法では「2m10㎝以上」と定められていますが、実際には基準を30㎝も上回る「2m40㎝以上」が見受けられます。
これも開放的な住まいを志向する風潮の表れでしょう。確かに、広く、高く、明るい空間は心地のいいものです。心身ともにすこやかな暮らしぶりが目に浮かびます。
けれども一方で、その空間の使い方や、求める意識によっては、少し狭めであったり、低めの天井であったり、あるいは閉鎖的な空間であったりする方がむしろ感覚的にしっくりくる、というケースも実際あるのです。
だからこそ、空間の広さや高さ、開口の大きさなどは”当たり前”にとらわれるのではなく、住まい手の心持ち、身体感覚、生活スタイルといった「個々の条件」というモノサシで量るものだと思うのです。
住まいづくりに共通の正解はありません。強いて正解をあげるとするならば、「それぞれの住まい手にとって『ちょうどいい』家をつくる」ということ。
住まい手が「ちょうどいい」と感じられる家こそが、その住まい手にとって本当にちょうどいい家、すなわち快適な家なのではないのでしょうか。
いわゆる”当たり前”とされている数字や造りにとらわれないで柔軟な家づくり。サン工房の家を「ちょうどいい」と感じていただける所以は、こんなところにあるのです。

松井進