設計作法・つなぎ目が生む豊かさ

日本の住宅の特徴は、室内と室外の間に、縁側や土間、軒下等といった「つなぎ目」となる中間的空間があることだと言われています。

日本の気候風土木造の柱柱梁構造を生み、その家のつくりがそれらの空間を創り出し、日本人が好む空間として定着したのだと思います。深い軒、庇は強い日射しや雨から室内空間を守り、壁面に美しい陰影を創り出します。
また、土間や縁側は室内と室外を、ある時はつなぎ、ある時はさりげなく遮ります。
さらには、日本人特有の内(うち=家)と外(よそ=他所)との関係性やコミニケーションの取り方も、これらの空間によってもたらされているのでしょう。
屋内ともいえるし、屋外ともいえる。そんな曖昧な空間は視覚的に日本人の美意識に合っているのだけではなく、ご近所の人とちょうどいい歓談の場となるなど、日本人の暮らし方に適しているのかもしれません。

日本の家のつくりや独特の空間も日本人特有の美意識や暮らし方も、そもそもは日本の気候風土に由来しています。
住宅の設計にあたり、サン工房の建築士は設計集団として、だれもが、まずはこの「日本の家」の生い立ちとその意味を再認識することから始めています。

松井進