機能美

先日、自宅の近所ある蔵を再利用したカフェに行きました。この蔵は1832年(天保3年)に建てられたもので、古民家を活用して、幅広い年代の人が集い交わり、伝え、楽しみ、癒される、そんな場所にしたいという思いから再生されたそうです。

2階が休憩スペースには棟札と思われる物が展示されており、当時の大工さんの名前と建てられた日付が書いてありました。


中の様子は部分的に新しいものに部材を交換している所もありましたが、半分以上は当時の躯体や漆喰が残っておりました。梁や柱を壁や天井で隠さずあらわしの状態で仕上げてあり、190年もの間この蔵を支えてきた見事な木目を愉しむことができました。


以前、先輩から【機能美】について教わりました。美しさはただ装飾で作るだけでなく、機能も兼ね備えたものであると無駄のない設計になるというお話しでした。

今回の蔵が仮に修復する際、天井や壁で覆った仕上がりだった場合、せっかくの木目や木組みを見ることが出来なくなり、少し殺風景な空間になってしまったのではないかと思います。

また、天井の低い空間だったのであらわしにすることで圧迫感は無いけれどどこか落ちつく空間をつくりあげておりました。

私は職人の方々のような職人技は持ち合わせておりませんが、どの様な空間に魅せたいか考えながら設計していくことで職人の方々の技が感じられる家づくりをすることができるのではないかと思っています。

機能美は言葉でいうのは簡単ですが、様々な角度から検討しないと成り立つものではないのでこれからも書籍やインターネット、出かけた先で見つけた物を自分の中に吸収していくことを大切にしていきたいです。

竹内花織    サン工房 平屋 二階建て 木の家 浜松 工務店

スタッフ

前の記事

定期点検
スタッフ

次の記事

見えない仕事