浜松ってどんなところ?

よく「気候風土にあった家」、「敷地の特性を生かした家」という言葉がありますが、私たちが主に活動している浜松とは一体どのような場所なのでしょうか。

身近なものの一つに「風」があるかと思います。

浜松では、冬は西北西の風が強くなり、夏には東西の風がよく通ります。
冬の風で洗濯物が飛ばされた!勝手口などのドアが風で持っていかれて丁番がつぶれた! という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、年間を通して日照時間が長く、温暖で過ごしやすい地域でもあります。

ただ、浜松市内は様々な条件があり住宅密集地と、田畑広がる平地、北へ行けば広大な森林や、お住まいの場所によっては、山から吹き降りてくる風があるという場所もあります。

自然環境の多様性という面でも、東京から浜松に移り住んだ方のお話がとても印象に残っているのですが、東京だと海も山も、川もお子さんを連れて遊びに行こうとすると、渋滞の中数時間かかり、到着することには疲れてしまうが、こちらでは、短時間で子供たちに色々な経験をさせられる点が素晴らしいと感じるとのこと。

あまりに身近で気付かなかった魅力。そのような多様性のある土地で、住まい作りをしているので、現場によって、住まいの建て方も違います。

今でも、車で走っていると、背の高い槇の木に囲まれた防風対策をしている古いお宅も見られます。


理にかなった昔ながらの知恵は、その土地らしい町並みにもつながっているのだと感じます。

日照時間が長いからこそ、夏の日差しを遮る軒は深くしっかりと作り、冬の風に対して、樹木の植える位置や、外壁の位置、窓の位置を決めたり、周辺の景色や遠くに見える山並みを室内に取り込めるかを考えたり。
建て替えによって今まで気づかなかった土地の魅力を再認識していただけるきっかけになれば、建築の可能性はもっと広がっていくと思いました。

山口江梨子