家は心の拠り所

先日、「風の電話」という映画を見ました。東日本の震災のその後を描いた作品です。
その映画の中で、あらためて「家ってこういうものなんだよな」と感じされてくれた印象的なシーンがあったので、それを書きたいと思います。
震災で家族を亡くし、広島の叔母の家で生活していた高校生の少女が叔母が病気で倒れたことをきっかけに岩手にある自分の生まれ育った家に行くことを決めます。
そして、たくさんの人に助けられて何とかその家にたどり着く。
家は津波に流されており、かろうじて残っていたのはコンクリートの基礎だけだったのですが、少女はそこで、かつて玄関だったところから家に入り「ただいま。帰ってきたよ。」と今は亡き家族に話しかける。そこには、キッチンもテーブルもソファーもベッドも何もないのですが、少女の目には、かつての暮らしがありありと映し出され、心の中で家族との再会を果たします。
私には、その基礎だけの家を見る少女の目が、あまりにも愛おしいものを見ているように見えました。傍から見たら、ただのコンクリートの塊を見ているだけなのに。
そして、震災以来、ずっとうつ向いて過ごしていた少女は、顔を上げて、命の限り生きていこうと前に進み始めました。
家は、家族の心の拠り所であり、家族そのものであり、生きていく上でなくてはならないものです。普段は当たり前すぎて、その存在の大きさに気付かないのですが、誰の心の中にも確実に存在し、その土台があるから、私たちは生きていける。つまづいたり、大きく傷ついたりしても、家があるから、またそこからやり直せる。
あらためて人生における家の大切さを感じさせてもらいました。
自分達は「家族の心の拠り所をつくっている」
日々、家と向き合う仕事において、大切なことを教えてもらいました。

大西等

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