設計者ブログ

磐田市の平屋リノベ 07【デッキ工事編】

磐田市の築30年の平屋戸建リノベーション。

今回は外部工事、ウッドデッキの解体復旧についてレポートします。

既存のウッドデッキの写真です。

一見すると手入れが行き届き、まだまだ丈夫なように見えます。

デッキはリビングを囲うようにL型に配置されており、屋根が架かって雨がかりもそれほど多くない環境でした。

お施主様も定期的に塗装メンテナンスしてきたと仰っています。

ここからが問題点。

柱の周辺が何やら怪しいです。

木材は水分を含むと「腐朽菌」が発生します。読んで字の如く、木材を腐らせ朽ちさせる菌です。

白く変色している部分は菌が繁殖していますね。

こちらの柱付近はデッキ材が朽ちかけていました。

放っておくとデッキを踏み抜いてしまうほど、木がスカスカになります。

この状況はお施主様も理解しており、今回の工事で交換することにしました。

ますは解体から。

建物を傷つけないよう、デッキ材を1枚ずつ慎重に剥がします。

デッキの上に柱が乗っている部分もありました。

これ以上解体すると柱が倒れるおそれがありますので、ここでストップです。

さきほどの柱の根元の辺り。

水が染み込んで内部が朽ちているのが確認できました。雨水が流れず、ここに溜まったのでしょう。

こちらは今にでも崩れてしまいそうです。

最悪の事態の前に解体できて良かったです。

可能な限りの解体が完了。

ここから復旧の準備に取り掛かります!!

まずは採寸。

ここはアナログに、人の手で測り寸法をメモしていきます。

メモはこんなかんじ。

少し複雑な形をしているので、細かく採寸しています。

交換するものと残すものがあるため、施工方法や仕上がりをイメージしながら図面を起こします。

メモを元に図面を作成し、加工寸法を決定します。

そこでまた現地確認し、細かな寸法修正を行っています。

材料が搬入されました。作業場で大工が加工していきます。

デッキ材の下地は「ハードサイプレス」という木材を使用しています。

別名を「豪州ヒノキ」といいオーストラリアで採れるヒノキ科の木です。

油分があり耐水性に優れ、ヒノキ同様シロアリに強い成分が含まれているため、防虫処理の必要がありません。

加工も比較的簡単で、外部で使用するのに適した材料です。

写真の通り、節(枝を切り払った目玉のような跡)があるため、下地材として使用しました。

こちらはデッキ材。

「マニルカラ」という木材です。

「アマゾンジャラ」とも呼ばれ、南米地方で多く採れる木材です。

ウッドデッキ材として公共施設などでも広く使用され、非常に耐久性が高いのが特徴です。

密度が高く重みがあり、内部に水分が浸透する隙間を感じさせません。

色は赤みがかっており、国産の木材には無い高級感も感じます。

ちなみに、風雨にさらされると色はだんだんと白銀色に変色します。

それらを現場で組み立てて完成!!

(すみません、施工中の写真を撮る余裕がありませんでした...。)

デッキ材が「マニルカラ」その下に「ハードサイプレス」を使用しています。

柱も一部交換しました。こちらは「イタウバ」という木材を採用しています。

イタウバも耐水性に優れた木材です。

 

 

何か、不思議なことに気が付きませんか?

 

 

馴染みすぎて分からないかもしれませんが、、、ビスが1箇所も見えないですよね。

でも、ちゃんと固定されています。

これが、私たちのひと工夫です。

ビスが見えないことで見かけにもきれいですし、水が浸み込むリスクも減ります。

少し手間はかかりますが、それ以上に効果が大きい施工方法です。

こちらは施工前。

そして施工後。

きっちりと正確に、工夫を加え復旧しました。

狭いところで担当大工も難しそうでしたが、きれいに仕上がって良かったです。

強い材料とひと手間加えた施工で鬼に金棒。

これから何十年とノーメンテナンスで耐えられると思います!!

 

設計:増田