リフォーム記録
大規模リフォーム・フルリノベ 13【基礎:掘り方】
築年数、約35年目を迎えるお住まいの大規模リフォーム・リノベーション工事です。
前回では無事に内部まで重機が進行することができ、掘り方作業に着手できました。
と、安心していたのもつかの間。
早速のプチアクシデント発生です。
当たり前と言われればそれまでですが、増築計画部分に既存の雨水配管が露呈してきました。
黄色いラインが増築計画範囲。水色のラインが既存の雨水配管ラインです。
厄介なことに増築計画範囲をしっかりと斜めに横断してくれています。
この雨水配管を迂回させようと思いましたが、どうやらそう簡単には問屋が卸してくれそうにありません。
物理的に不可能な理由が二つ発生しました。
① 排水勾配がすでにギリということ。
現状かなり緩やかな排水勾配なので、これを迂回させようとすると配管距離が長くなってしまいます。
そうなると、さらに排水勾配が緩やかになってしまう為、あまりよろしくありません。
② 物理的に施工が無理ということ。
建物と隣地境界との境に既存の排水管がありますが、施工をやり直すには狭すぎて実質不可と判断せざるを得ない状態です。
総合的に判断して、これらの観点からこの既存排水はそのままの形で温存するようにして、基礎工事を進めていくように結論付けいたしました。
回避可能であれば経路を迂回させたいのはやまやまですが、リフォーム・リノベーションにおいてはその場の状況判断や応用力が新築工事以上に必要とされてきます。
当然ですが、絶対にダメなものはやりかえなければなりませんよ。
白黒つけられないグレーゾーンの領域において、善の気持ちをもって取り組むことが重要かと思います。
さて、重機が進入できたことで掘り方作業を順次進めることができます。
狭いスペースではこのチビ重機が本領発揮。
時間はかかれどもチビ重機の威力は抜群です。
チビ重機が頑張って順調に掘り方作業が進んでいます。
さすがに全工事をこのチビ重機だけでは賄うことはかなわず、通常の大きさの重機も投入して掘り方作業が進められます。
作業スペースが限られたところはチビの重機が頑張ってくれて、そこへ人力のサポートも加わりながら職方ならではの判断で効率よく作業を進めてくれました。
我々サラリーマンはついつい机上の論理で物事を考えがちではありますが、各専門の職方はその場の状況を見て、直感と感覚で、どうしたら正確に効率良く作業ができるかという判断力を備え持っているなといつも感心させられます。
餅屋は餅屋と昔からよく言われますが、本当にその通りだと思います。
掘り方を行うということは、即ち発生残土の搬出が必要になります。
チビ重機で効率よく掘方作業と、それに伴う残土の集積を行い、そこから先は通常の重機でトラックに積み込み残土の搬出が可能となります。
特にこの静岡県におきましては、2021年に熱海で発生した土石流災害の経緯があり、発生残土の処分について規制がかなり厳しくなっております。
不適切な盛土がいかに危険であるかということが今回の災害発生でより露見されております。
危険予知、災害防止、安全第一で考えれば適切な処理が必要ということは至極当然のことであり、そのことについては十分理解はできるのですが、それが建築コストに直結してくるということも明白であり、その結果建て主の方々への負担が大きくなっていることも紛れもない事実であります。
特に静岡県の建築業界におきましては、この件についてとても大きな影響を受けておりますので、各地域の建築会社関連、また建て主の皆様におきましてもそれ相応の影響が発生している状態です。
少しでも早い段階で、良好な状態に鎮静化してくれることを祈りたいと思います。
大規模リフォーム・フルリノベ 13【基礎:掘方】
現場監理 金原