リフォーム記録
大規模リフォーム・フルリノベ 14【基礎:鉄筋】
築年数、約35年目を迎えるお住まいの大規模リフォーム・リノベーション工事です。
前回では掘り方作業をメインにお伝えいたしました。
今回は基礎リノベにおける鉄筋についてお伝えしたいと思います。
基礎部分のリノベーション。
このリノベを一言で表現すると、
『残すべき既存の基礎と、これから新設する基礎を連結する作業』
これがメイン工事となります。
既存基礎と新設基礎がつながるところには、差し筋(さしきん)アンカーと呼ばれる部材を打ち込んでいきます。
厳密に言えば差し筋アンカーよりもケミカルアンカーでの接合が理想ではありますが、実際の現場では打ち込みが不可能な場合があります。
住宅の基礎レベルで用いられるケミカルアンカーは、D10用、又はD13用が比較的多く用いられますが、
・D10の場合 → 90㎜打ち込み
・D13の場合 → 110㎜打ち込み
このように打ち込み寸法には一定の決まりがありますが、この寸法が満たされない場合が多々あります。
穿孔した際に、基礎内部の鉄筋に当たってしまったり、骨材の石がどうしても砕けなかったりと、リアルな現場においてはあるあるの生の声です。
実際の状況に合わせて適宜調整せざるを得ない状況に直面する時があります。
アンカーの打ち込みについては下記で詳しく触れていますのでご覧ください。
差し筋アンカーは、その特性上打ち込むことで傘部分が押し込まれることにより、孔の中でアンカーが押し広げられ、摩擦抵抗をもって固定される仕組みとなります。
このアンカーは通称”グリップアンカー”と呼ばれるもので、建築業界では広く使用される場合が多いと思います。
この差し筋アンカーをハンマーでしっかりと打ち込んで固定します。
打ち込まれた差し筋は、新設基礎の鉄筋と繋げるべく、クロスハッカーと鉄筋曲げ棒を使って具合よく曲加工を施します。
長さの長いところは所定の長さに切断する必要もありますね。
打ち込んだ差し筋が計画に沿って曲げられて、後々の工程で新設基礎の鉄筋と繋がるようにしていきます。
解体時には、柱の下に基礎がないところも発覚しましたね。
ここは見た目にもさすがにヤバいです。
見過ごすわけにはいきません。
ここも同じように差し筋をして、コンクリートを流し込む準備をします。
また、差し筋だけではありません。
基礎を解体したところは、後々の計画に合わせて鉄筋だけを残しておくことも大事です。
むやみに解体して鉄筋まで切断してしまっては勿体ないですから。
”計画に沿って活かせるべくは活かす”
リノベにおいてはとても大切なことです。
ここは”抱きの基礎”になる予定なので、クロスハッカーと鉄筋曲げ棒を使って、同じように具合よく曲げていきます。
新築工事ではほぼ見ることのないリノベ特有の工事です。
こういった類の工事はたまらなく好きですね。
知識と判断、
場数と経験、
基本と応用
リノベーションのリアルな現場では色々な要素が求められます。
知識力が備わっていれば、的確な判断や指示ができます。
場数を踏むことは即ち経験につながり、巾広い対応が可能になります。
応用力を最大限に発揮するには、基礎的な知識が絶対に必要不可欠です。
鉄筋については次回以降も続きますので、もう少し詳しくお伝えしていこうと思います。
大規模リフォーム・フルリノベ 14【基礎:鉄筋】
現場監理 金原