設計士のコラム

【コラム05】バリアフリーリフォームのススメ

こんにちは、設計士の増田です。今回はコラムの第5回、バリアフリーリフォームについてお話ししたいと思います。

バリアフリーリフォームの目的は、住まい手が安全に、そして快適に暮らせる環境をつくることです。

高齢者が救急搬送される原因の最も多いのが転倒・転落で、原因の約8割を占めており、さらにそのうち半数以上が自宅など普段過ごす場所で起こっているようです。

怪我や病気などの理由で今すぐリフォームが必要な方と、先々の暮らしを考えてリフォームを検討する方がいらっしゃいます。

私たちもお客様の年齢や、この先どのぐらいの時間をこの建物で過ごす予定なのか、ひとりひとりとお話しながら計画を進めます。

バリアフリーリフォームといっても規模や内容はさまざまですが、代表的なものは以下の工事です。

○手摺の設置

玄関やトイレなどの立ち座りがある場所の他、スロープや廊下、階段に設置することもあります。

手摺を設置することによって壁が汚れにくくなるというメリットもあります。

玄関は特に、靴の脱ぎ履きで壁に手をつくことが多いので手摺が効果的です。新築時にも設置をオススメしています。

○段差の解消

現在の新築住宅ではあまり見られませんが、扉の下(敷居)が2センチ程度上がっていたり、トイレや浴室の入口が10センチ程度段差がある場合があります。

この数センチがつまずきや転倒の原因になります。

床の高さを変えたり、設備機器を入れ替えたりしてフラットに近づけます。

(敷居の段差解消)

(トイレの段差解消)

(駐車場から玄関へのスロープ設置)

○建具の交換や修繕

開き扉を引戸に交換することが多いかもしれません。

引戸の方が開閉時の体の負担が少なく、特にトイレなどの狭い空間では効果があります。

また重くて動きが固い引戸を上吊り式にリペアすることもバリアフリー工事と言えるでしょう。

○住宅設備の入れ替え

キッチンやトイレ、風呂などの設備機器を入れ替えることで利便性が高まります。

特に古い浴室は、浴槽が深く跨ぐのが大変だったり、冬は寒さに悩まされたりします。

最新の浴槽は人体工学に基づいて設計され体への負担が少なく、断熱もしっかりしていますし、暖房設備付きの浴室に変更すればヒートショックのリスクも軽減できます。

既存の浴室に暖房機器のみを設置することもできます。

(浴室暖房の設置)

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このようにのお客様からのリクエストや建物の状態は様々ですが「快適に安心して暮らすこと」は私も重要視するところです。

加えて建物の断熱や気密、いわゆる「性能向上リノベーション」も快適性向上につながり、費用対効果は高いと感じます。

バリアフリーや性能向上に関しては大小ざまざまな補助金制度があります。(工事内容や費用に応じてご提案しています。)

前回の耐震性能と共に、バリアフリー性は可能な限り向上することをお勧めしています。

設計:増田