設計士のコラム

【コラム04】耐震性能を知る方法

こんにちは、設計士の増田です。

今回はコラムの第4回、改修工事における耐震の考え方についてお話ししたいと思います。

リフォームやリノベーションを計画する際、耐震性能は必ず確認するポイントです。

特に間取り変更を伴うリノベーションは、柱が取れるかどうか、また補強が必要かどうか確認する必要があります。

そのための資料として、現況調査はとても重要な作業です。

耐震性能の指標のひとつは建築時期です。

(資料:TDYリフォームナビ)

法規上の耐震規定は大地震が発生すると改訂されることが多いのですが、大きな転機は1981年(昭和56年)です。

現行の木造住宅の壁量基準はこの時から始まっています。

お客様から計画の相談があった際、まずは現況図面や申請関連書類の有無、建築年代をお伺いします。

登記されている建物であれば、登記情報から建築時期を調べることができます。

それと同時に行うのが目視調査。基礎や外壁、屋根の損傷の有無、床や柱の傾きの有無、可能であれば床下や屋根裏にも入り、害虫や雨漏りによる損傷の有無を確認します。

また住まい手にヒアリングし、過去にあった不具合や、暮らしていて気になることの確認を行います

また新築時の工事写真記録がある場合は、図面との照合を行うことができます。

これだけの調査ではどうしても把握できない部分はありますので、想像で計画を行い、解体時に再調査を行います。

(解体工事の様子)

(解体後の様子)

 

解体後の調査で分かる不具合として、

・図面と異なる位置に柱や筋交がある

・漏水で木が腐っている

・新築時の施工不良

などがあげられます。

私の経験上、タイル張りの浴室や出窓からの漏水、複雑な形状の屋根からの漏水が比較的多く見られます。

(水廻り漏水による土台の腐食)

(出窓の漏水による腐食)

(外壁漏水による柱の劣化)

(ウッドデッキの排水不良による腐食)

(新築時の筋交いの切断)

 

見てしまうとショックな部分もあるのですが、損傷部分を交換し、原因となる部分を措置すればきれいに再生することができます。

間取り変更のリノベーションは計画通りにいかないことも多いのですが、できる限りの想定をして工事に臨んでいます。

(土台の交換)

(土台新設と柱の交換)

(柱、梁の補強)

 

耐震性が気になったら、まずは昭和56年より前か後か、調べると良いかと思います。

56年以前の建物でも、耐震改修をすれば現行と同等の耐震性能を確保することができます

 

設計:増田