設計士のコラム

【コラム02】優しい建築

こんにちは。設計士の増田です。

今回はコラムの第2回、建築における「優しさ」について考えたいと思います。

「なぜ建築物に優しさが必要なのか」と問われると良い回答が浮かばないのが本音なのですが、

私は「使う人のことを考えた、作り手の配慮」を優しさと捉えています。

例えば、私はサウナが好きでよく銭湯やサウナ施設に行くのですが、

サウナ室とシャワーブース、水風呂が近くにあると「きっとここの設計者はサウナ好きだな。気が利いているな。」と感じます。

ユーザーの行動や心理を先読みし、言われずとも手を施すのが、作り手としての優しい心だと思います。

前置きが長くなりましたが、本題に移ります。

下の写真をご覧ください。

対面キッチンのカウンターですが、特に変わった部分は無いように見えます。

これで分かりますね。手を触れる部分を丸く削り取ってあります。

カウンターは角がある仕上がりにしていますので、作り手の意図が感じられます。

その他、手を触れる部分といえば手摺。

回り階段の手摺です。

「回り」の部分には大人も子供も握りやすい高さ、太さの丸棒。

直線部分は大人用と子供用の2段の高さで、先ほど同様角に丸みのある加工。

手摺の断面寸法も大きすぎず小さすぎず、良い塩梅を狙います。

その他としては、視覚で感じるところでしょうか。

眩しくない照明も良いですよね。

目はちょっとしたことでもストレスを感じやすい部分だと思います。

ぼんやりとした光を取り込むことも良いと思っています。

はっきりとした影のラインが出ず、私には優しい空間に見えます。

作り手と住まい手では感覚が違いますので、調節できる機構も大切です。

こういったものは一朝一夕で出来る訳ではなく、住まい手にヒアリングしながらブラッシュアップを繰り返し、

少しずつ改良されていきます。

優しさに溢れた建築を作りたいと、日々反省と研究を繰り返しています。

設計:増田