設計者ブログ

磐田市の平屋リノベ 03【床下断熱編】

前回のブログは構造の補強工事について触れました。

今回は床の断熱気密工事!

まずは工事前の様子から。

ロックウールがフワフワと。隙間も大きく、完全に沈んでしまっているところもあります。

これでは断熱されているとは言えませんね。

このまま床を張るわけにはいきませんので、全て撤去、交換します。

1枚ずつ、地道に剥がしています。

木材に乗っているだけなので取るのは簡単ですが、なかなかの量がありました。

だいぶスッキリしましたね。

床下地の骨組みは劣化も見られず状態は良好でしたので、そのまま使うことにしました。

ここに新たに断熱材を敷き込んでいきます。

使用したのは「ミラネクスト」という発泡系の断熱材。

両端に切込みがあり、幅の微調整ができるようになっています。

改修工事ではこのような調整できる建材がとても重宝します。

きれいにはまっていますね。

木材は時間とともに乾燥が進み、収縮したり変形したりしていますので、調整できることで施工精度がぐんと上がります。

断面を見るとよく分かります。

ぴたっとはまることで隙間風が減り、冷気も上がりにくくなります。

改修部分は全て、この断熱材に入替えました。

断熱材の端には小幅の木材をはめ込みました。

床下からの隙間風の軽減(気密性の向上)と、この上に施工する床板の接着面積の増加が目的です。

これも新築工事には無い、改修工事ならではの工夫のひとつです。

いよいよ、床板を張っていきます!

使用した床板はチーク材無垢フローリング。

15ミリの厚さのある、巾9センチの材料です。

このように、1枚ずつ接着材とステープルを併用し固定していきます。

これが最終仕上りとなりますので、この辺りから完成のイメージが見えてきます。

接着が甘いと、後に板が浮いて床鳴りの原因になりますので、木材を敷いて接着面積を広げたことには意味があります。

板もなんとなく張っているのではなく、順序や長さを計画しています。

私たちは「割付け」と言いますが、完成時に「おかしいぞ?」とならないよう、そして材料ロスが出ないよう、

張り始めから終わりまで事前に決めてから施工しています。

だいぶ張り進めてきました。

板に挟まっている緑、気になりますよね。

これは薄いシート状のものですが、これを挟みながら床板を張りました。

目的は板と板に隙間をつくる、いわゆる「スペーサ」です。

無垢の木材は呼吸しており、空気中の水分量により変形します。

秋冬は乾燥して収縮し、春夏は湿気を含み膨張します。そのため、この季節は夏場に備えて隙間を空けて施工するのです。

これをしないと、床板どうしが押し合い、むくり上がったり割れたりすることがあります。

この性質は無垢フローリング全般にあります。

建材フローリングに比べて張る枚数も多いので、通りがずれない様に加減しながら、たまに俯瞰して確認しながら、張り進めます。

張り終えた部分は傷がつかないよう、すぐに養生します。

工事中に床板が見られるのはこの時間だけ。完成時のお楽しみです。

床板を張っていると、壁との取り合い部分が目につきます。

このような部分。隙間風が上がってきそうですよね。

まず外壁面について。

古い断熱材は可能な限り交換しました。

その他の部分は床下との隙間を断熱材で埋めました。

これだけでも効果はあるのですが、さらに手を加えます。

使用したのは発泡ウレタンの断熱材。

これで小さな隙間も埋めていきます。

隙間を狙ってスプレーを吹込みます。作業しているのは現場管理の金原。慣れた手つきです。

どのような場合でも、断熱と気密をセットで考えなければ室内環境は向上しません。

材料は幾多とありますので、その現場に合うものを選定する。知識と経験がものを言います。

ピンクの部分が発泡ウレタンです。

吹き付けてしばらくすると発泡し膨張します。これで隙間が埋まっていきます。

隙間という隙間を埋めたので、隙間風もかなり軽減されたはず!

足元の寒さと不快感は比例関係ですので、床下の気密施工は重要ポイントです。

 

これにて床の工事は完了。

出来てしまうと何てことないのですが、見えない部分のできる限りの工夫はできたと思います。

平らな床面ができたので、次回は天井と壁の工事をご紹介します。

 

設計:増田