現場ブログ

木製バルコニー改修 01【修復再生・現地調査】

築年数、約18年目を迎えるお住まいの木製バルコニーの改修工事です。

 

『バルコニーの柱部が腐ってきているので見て欲しい』

弊社スタッフを通してこのような一報と下見の画像を受け取りました。

初見訪問での伝言によると、バルコニーの柱と梁(はり)が交差しているところにて柱がボソボソになっている様子。

目視ではあまり広範囲ではなさそうだが、なんとも言い難いところ。

経年での浸水で柱が腐ってしまったのではないか?という疑念内容でした。

また一部においては蜂が丸い穴をあけて、どうやらそこを巣にしようとしている様子とのこと。

その穴も埋めてほしいという要望も預かりました。

おそらくは台湾クマバチの仕業ではないかと推測されます。

比較的おとなしい性格の蜂ですがこればっかりは厄介です。

⇒台湾クマバチ

 

『なるべく範囲を広げないような形での修復で』というのがお客様のご要望です。

預かった画像を見る限りでは、損傷している箇所が材と材が取り合っている付近なので、この段階では最小範囲での修復が可能かどうかは判断が難しいところです。

何はともあれ、先ずは現地調査で向かいます。GO!

 

とても立派で大きな木製バルコニーです。

素材が木製である以上、いつかは交換・・・という事実は避けられませんが、

お客様におかれましては、新築当初より定期的にメンテナンス塗装を行われておりますので、

18年弱という歳月を感じさせないくらい、全体的にとても良好な状態が保たれています。

正に良いお手本の代表例と言っても過言ではありません。

主に外部の木部に使用する塗料は、被膜をつくらない含浸性(がんしんせい)のある塗料を使用します。

浸透性といった方がわかりやすいですかね。

代表的な塗料としては、キシラデコール、ガードラックなどが主に市販されておりますが、弊社ではノンロット205Nという塗料を主に使用しております。

⇒キシラデコール

⇒ガードラック

⇒ノンロット

それぞれに特徴があり優劣はつけられませんが、基本的な成分に大きな差異はありません。

これらの塗料を用いてメンテナンス塗装をすることで、木材の表面に塗料が浸透し表面の撥水効果が高まります。

塗料には油分を多く含みますので、雨水に対しても浸水防止の効果が高まります。

また、防腐・防虫・防カビ効果も期待できますので、定期的なメンテナンス塗装が木材を長持ちさせてくれます。

しかしそのような中でも今回のように腐食箇所が発生してしまいました。

木造において、材と材が取り合うところや、交差するようなところを”仕口(しぐち)”と言います。

少なからず材に加工を施しますので凹形状になるところもあり、水が溜まってしまいやすくなるという現実があります。

したがって経年での雨水溜まりの影響で乾かない状態が続き、局所的に腐朽菌が発生してしまったのでないかと考えられます。

結果、この仕口部分のすぐ下付近において劣化損傷という症状が発生したと考えてよいかと。

一番角にあたる柱です。

表面がこれだけボソボソな感じだと、内部はもっと範囲が大きくなっていることが想定されます。

スケールをあててみると、その長さは約17cmに渡っています。

指で触るとブヨブヨしている感じです。

指先から嫌な感じが伝わってきます。

 

同じく角から2番目の柱も同様に損傷が広がっています。

目視だけでは角の柱よりも損傷が少なく見受けられますが、触ってみるとその範囲は比較的広がっていました。

柱は全て通し柱形式となっているので、安易な考えで交換はできません。

かつ、なるべく範囲を広げないような形での修復がお客様のご要望です。

さて、どのようにしたら良いか・・・

・・・

・・・

・・・

さすがに即答はできません。

先ずは現状と向き合い現状をしっかりと把握して、修復できる方法をじっくりと考査する必要があります。

ここで一つ疑問が。。。

『なぜ他のところは損傷無くて、この2本だけがダメなのか? 一体なぜ?』

修復に先立ち、局所的にこの損傷に至ったメカニズムも突き止める必要がありそうです。

次回はもう少しここを深掘りして考えていきたいと思います。

 

木製バルコニー改修 01【修復再生・現地調査】

現場監理 金原