現場ブログ

木製バルコニー改修 05【修復再生・施工 vol.1】

築年数、約18年目を迎えるお住まいの木製バルコニーの改修工事です。

 

前回では現地施工前の事前準備までが整いました。

いよいよ組立て作業と、修復と再生を合わせた施工に入っていきます。

先ずは養生から。

作業範囲をメインに周辺の養生を行います。

もっと完璧にできれば尚良いんですけどね 汗

材木業者の手によって、加工された材料も無事搬入されました。

当たり前にも思いがちですが、とてもありがたいことです。

さっそく会話が始まっています。

応援の大工職にも事前には話はしてあるものの、実際の作業に取り掛かかる前のミーティングは大事です。

 

それでは作業開始です。早速分かれるのね。

先ずは基準となる柱のところから墨出しを行います。

”墨付け(すみつけ)”と”墨出し(すみだし)”・・・似ている言葉です。

同じような意味合いもありますが、使われ方は少しだけ異なります。

”墨付け”とは、主に加工に先立ち、その形状の墨を書き記すこと。

”墨出し”とは、主に何かをするに先立ち、基準となる墨を書き記すこと。

なんとなくこのような感じの違いでしょうか。

書いた線(墨)に間違いがないか、お互いに確認します。

基準となる墨ですので、これが間違っていたら全てご破算となってしまいますからね。

で、例の腐食しているところですよね。

そりゃぁ、そうなりますよね。。。

 

さて、気持ちをきりかえて。

この基準墨からどのように展開していくかなど、説明も交えながら墨出しと墨付けを進めていきます。

このすり合わせは大切ですよ。

 

焦らない、焦らない。

 

スタートの墨です。ここが肝心ですから慎重に。

 

途中間違っているところはないかなど、作図した板図も見ながらの確認が大切です。

このタイミングでは特に慎重さが必要となりますね。

大工職の仕事には色々な刃物類を使います。

刃先を入れてしまってからでは取り返しがつかなくなるので、誰しも慎重になるところです。

刃先を入れる前の作業が墨付けであり、墨付けの前には基準となる墨出しが必要です。

また、その墨付けにより加工された材を間違いなく仕込む為に行うのも墨出しです。

このことから墨出しの重要性がご理解いただけるかなと思います。

 

墨出しだけでは対応しきれない箇所もあります。

それは寸法ではなく、現物合わせが必要となるところ。

加工されたつなぎ梁もそれにあたります。

長さについてだけは現地合わせとしたので、慎重に長さを測ります。

同じく柱の長さについても現物合わせです。

正確な加工をするために、もともとの柱に正確に墨出しと墨付けを行います。

時間をムダにしないよう、できるところの加工は進めていきます。

 

修復・再生を行う柱には”金輪継ぎ(かなわつぎ)”を加工する為の基準となる墨出しが必要です。

 

今度は書き記した墨を基準として、もとの柱に墨付けを行います。

加工された新しい柱材を、もとの柱に添えて、慎重に墨付けを行うことでミスをなくします。

続けて、中間の柱部分も同じように墨出しと墨付けを進めていきます。

 

実はこの2本の柱、同じように見えて加工が異なります ↓ ↓ ↓

どこが違うかわかりますでしょうか。

この柱の上部には敷梁(しきばり)や、それを支えるつなぎ梁も入ります。

したがって、柱のホゾの向きと、柱の長さが違うんですね。

 

近くで作業だけに没頭してしまうと、そのことだけに捉われてしまい全体に目が行きにくくなってしまいがちです。

時には少し離れて全体を見ながら、間違いが起きていないかを確認することも大切ですね。

 

これで刃物を入れる前の事前作業が整ってきました。

繰り返しになりますが、刃先を入れてしまってからでは取り返しがつかない作業です。

慎重に、慎重に作業を進め、安心して刃先を入れることができるように整えることが大事です。

 

二人で協力しなければできないところはお互いに協力しながら作業を進め、それがある程度整えばそれぞれに分かれて各々の作業を責任持って進めていきます。

これもまた段取りの一つですね。

お互いを信じあい、

お互いを尊重し合い、

お互いがそれぞれに責任をまっとうし、

完成に向けて方向を合わせることで、結果良い仕事につながるのではないかと思います。

次回も、引き続き組立てと修復再生の様子をお伝えしたいと思います。

 

木製バルコニー改修 05【修復再生・施工 vol.1】

現場監理 金原