現場ブログ

浴室改修工事 09【リノベーション・躯体補強施工編 詳細解体2】

築年数、約26年目を迎えるお住まいの浴室改修工事です。

浴室の詳細解体に続き、脱衣室側の詳細解体に入っていきます。

床を解体しますので、先ずは脱衣室側の床の厚さを計ります。

こちらのお宅の床板はとても厚く、約30mmの床板が張られていました。

そして床下地となっている合板は約28mmとなっていましたので、床部分の厚さとしては合計で約58mmとなります。

一般的な丸ノコでは、だいたい60mmくらいまでは切込みできますが、いきなり切断しては危険極まりないので、何回かに分けて切断を進めていきます。

基本的な考え方としては、対象の厚み+3mm程度の刃先出し寸法となるよう丸ノコをセットし、切断を行います。

床下の目に見えないところに何かあるかもしれませんから、不要な刃の出し過ぎは厳禁です。先ずは床板の厚み30mm分から切込みを行い、慌てずに1枚ずつ剥がしていきます。

それにしても厚い床板ですね。

これだけでも木の素材が持つ保温効果はかなり高いので、寒い日でも冷たくなりにくいということがメリットとして挙げられます。

反対にデメリットとして捉えられるのは、針葉樹系の木材はどちらかいうと柔らかい樹種に該当されますので、どうしても生活痕がつきやすいということです。

ただし、その柔らかさが人体には良い影響を与えてくれます。

柔らかい分、床からの反発力が優しくなります。歩いた時や転んだ時、床から身体に伝わる感覚ですね。

特に膝への負担が軽減されるのも、針葉樹の床板の良いところでもあります。

硬い木、柔らかい木、それぞれに一長一短がありますので、お客様の価値観で選択されることが望ましいと思います。

さて、この床板を取らなければならないのですが、壁との取合い部分では床板が壁の中まで入っているので、ギリギリのところで切断する必要があります。そこで丸ノコを逆方向に傾けて、キワ切りとして慎重に刃先を入れて切り進めていきます。

昔はこのようなキワ部分は、機械で切ることができなかったので、鑿(のみ)や手鋸(てのこ)といった手道具を駆使して切断していたんですよね。考えただけでも実に地道で大変な作業となります。

現代では、日々機械工具も進化していますので、作業効率が格段に良くなってきています。

そうは言っても道具だけではダメですね。技術が伴ってこその作業効率UPにつながります。

私も時折この作業をしますが、苦手作業の一つです 泣

だいぶ床板の剥がし作業が進み、下地の合板が見えてきました。

やはり合板の劣化損傷も激しいですね。

特に浴室側端部は原型をとどめていません。その中でも救いだったのは、浴室の事を思うと、想像していたよりかは劣化損傷範囲が進行していなかったことですね。

脱衣室側の床板は、途中から既存のまま使用となりますので、取り合い部分においては不要なキズを付けないよう、慎重に刃物を入れながら復旧に向けて整えていきます。

並行して作業が進んでおり、浴室側では土台の仮置き作業も進んでいます。

下地合板の解体作業も進み、脱衣室側の床下も見えてきました。

よく見ると、床合板下地を支えている大引き材(おびき、おおびき)の木口が見えますが、やはり損傷が激しいですね。

どの程度まで腐朽が進行しているのか・・・

白蟻被害も進行してしまっているのか・・・

少なからず心配が頭をよぎります。

が、この材はもともと撤去予定なので極度に気にはしていなかったのですが、やはり劣化損傷の進行具合が気にはなってしまいます。

部材の外見からでは判断できないので、暫定的に短く切断をしてみようということにしました。

お客様には大変不躾かと存じますが、ここまでくるともはや調べずにはいられないと言いましょうか、好奇心や探求心の方が勝っていたかもしれません。

・・・!

切ってみて、あれっ?って感じです。

約20cmくらいでカットしてみたのですが、思いのほか劣化損傷の進行は見られなかったのです。木材は、どうしても木口部分から水分を一番吸いたがるので劣化の進行具合が気にはなりましたが、どうやら防腐防虫土台材の効力が高かったと思います。

当時はこの防腐処理された土台のことを、通称”ボリデン”と呼んでいました。これで十分通用しました。

材種は米栂(べいつが)材で、この材表面にインサイジング加工といって、材強度に影響が出ない程度でスジ状の表面キズをつけます。

そして、その状態にしてから加圧注入機械≒注入窯に入れることで、付けたキズから木材内部への薬剤浸透率が高くなるという防腐処理方法です。

よくみると材の中央付近の方がより劣化が進んでいますね。

どうしても表皮側の方が薬剤浸透率が高いので、その効力の影響が顕著に見られます。

浴室側での劣化損傷をみていたので心配は大きかったのですが、劣化の具合がこれくらいの程度で済んでいてくれたことに、少しホッとしました。

ホッとしたのもつかの間。この時点で前回お伝えしたアクシデントが発覚したのです。

一つ間違えば大惨事となるところでした。

次回、この内容をもう少し詳しくお伝えしていこうと思います。

 

現場監理 金原