設計

縁側と庭木のある和風木造住宅のアプローチ
設計

紙からはじまる
家づくり。

設計図の上に置かれた和風住宅のスケッチ

家づくりは「紙」から始まり、多くの職人の手仕事を通して形となっていきます。お客様のご希望は、間取りや外観デザインをはじめ、費用に関することなど、まさに多種多様。そこでまず、思い描く暮らしの場面や、家族の物語などをスケッチに起こし、次にプランや施工に必要な図面を引き、費用も詳細な見積明細書にして、やっと家づくりが始まります。

手を動かし、紙で表現することで、お客様の想いや願いを具体的に「大切にする」ことができるのだと思います。だからこそ紙を大切にする設計者が、まずお客様と直接お話をすることで「家づくりの想いや願い」がしっかりと反映された図面ができるのです。

建築士の集団が
対応します。

打ち合わせテーブルで図面を囲む建築士たち

住まい手の想いやこだわりを聞き取り図面を立ち上げる建築士と、施工を監理する建築士の両者が1棟の家づくりに関わる。それがサン工房のスタイルです。

設計と施工、双方の立場から住まい手の想いやこだわりを共有することによって、単に図面に忠実なだけでなく、現場ならではの創意工夫を盛り込んだ住まいが実現するのです。

構造計算と図面の重要性

建てる前に、
机上で「建てる」。
一つひとつ精密に、
一軒一軒正確に。

構造計算の図面と住宅模型
構造設計の断面詳細図

部材一つひとつに及ぶ
高度かつ精密な構造計算。

一般に住宅の構造計算とは、水平な力に対して抵抗するための耐力壁が足りているかどうかを確認し、耐力壁のバランス(偏心率)をチェックするための「壁量計算」を指します。これは建築基準法により義務化されているため、どの住宅会社でも行うものですが、あくまでも耐力壁が正しく機能しているという想定のもとでの計算です。

しかし実際には、建物にかかる力は壁だけで受けるのではなく、柱や梁など各部材から壁に伝達されるものです。そのためサン工房では、3階建て以上または延べ面積が300㎡を超える建物の建築に義務づけられている構造計算の一つ「許容応力度計算」を全棟で行っています。これは荷重などの垂直方向の力や、地震や風圧などの水平方向の力に対する建物全体のねじれ、柱や梁のたわみなどについて、部材一つひとつにわたって数値によって検証し、十分に安全であることを確認する作業です。

また、この作業は建物の構造について詳しい知識を持っていなければできないものですが、サン工房ではすべての構造計算を社内の建築士が行っています。

住宅の矩計図
吹き抜け空間の設計ディテール

高さをデサインすれば、
見えない家が見えてくる。

高さを設計する際、住まいの断面図となる矩計(かなばかり)を作成します。この矩計から部材の大きさや厚みなどの納まりを綿密に検討し、思い描いている空間になるかどうかを確認します。

心落ち着ける場所、開放的な場所、活動的な場所…。空間に求める要素が異なれば、天井の高さも違って当然。

また、美しく見える外観の高さや玄関の印象に関わる軒の高さも重要なポイントです。このように高さについては検証すべきことが数多くあり、決しておろそかにできない設計の要素なのです。

施工図に基づいた木造の架構

細部へのこだわりまで
正確に伝える「施工図」。

家を長持ちさせるため、また、端整に見せるため、サン工房では細部にまでこだわった家づくりを信条としています。けれども、細部へのこだわりを言葉だけで職人に伝えるのは困難なこと。そこで私たちは、普通の図面よりもさらに詳細な指示を盛り込んだ「施工図」と呼ばれる図面を作成します。

そしてその施工図から相互の共通理解を引き出し、考えを交換した上でカタチにしていきます。

自然の力を読む

緑に囲まれた木造住宅の外観

サン工房の家では、春秋の気持ち良い風を促し、夏の厳しい日射を避け、冬の暖かい日射を取込み、「自然の力」に寄り添った設計をしています。

光・風・熱の設計

自然と上手につきあえば、
性能では語れない心地よさが
生まれます。

採光を意識した室内空間

ひとつ上の快適さを生む光の設計。

冬暖かく夏涼しい家をつくるには、断熱性や気密性といった性能だけでなく、太陽や風など自然の恵みをいかに味方につけるかも重要なポイントとなります。たとえば、冬はいかにして室内の奥まで陽光を採り込むか、逆に夏はいかにして日差しを遮るかといった工夫が必要です。

また、別の視点から考えれば、家族で過ごす空間にはたっぷりの日差しが、一方、ひとり考え事をする部屋には小さな窓から足元へ落ちる静かな光が似合います。このように、季節や目的に応じた光の設計は、ひとつ上の心地よさを得るための大切な手がかりとなるのです。

床下エアコンを備えた吹き抜けのある住まい

暑さ寒さの感じ方は
人それぞれだからこそ。

「温熱環境」と聞いて、「高気密・高断熱」を連想する方も多いと思います。けれども、「高気密・高断熱」は果たして快適な住まいの切り札となり得るのでしょうか。私たちの答えは、NOです。なぜなら暑さや寒さを感じる度合いは百人百様。土地によって気候の差もあるでしょう。

私たちはまず、設備や仕様以外の部分、すなわち設計の工夫によって風の通りや日照などの問題を解決し、快適に過ごすことを第一に考えたいと思います。

理想は、設計と住宅性能とを両立させ、エアコンや暖房器具を多用しなくてすむ暮らし。その上で、床下エアコンや全館空調など、住まい手ごとの様々な「心地よい温熱環境」に柔軟に応える換気・空調設計を行っています。

中間的空間に関して

つなぎ目が生む豊かさ。

深い庇と縁側のある日本の住まい

日本の住宅の特徴は、室内と室外の間に、縁側や土間、庇下などといった「つなぎ目」となる中間的空間があることだと言われています。日本の気候風土が木造の柱梁構造を生み、その家の造りがそれらの空間をつくり出し、日本人が好む空間として定着したのです。

深い庇は強い日差しや雨から屋内空間を守り、壁面に美しい陰影をつくります。また、土間や縁側は室内と室外を、ある時はつなぎ、ある時はさりげなく遮ります。さらには、日本人特有の内(うち=家)と外(よそ=他)との関係性やコミュニケーションの取り方も、これらの空間によってもたらされたとも言えるでしょう。屋内とも言えるし、屋外とも言える、そんな曖昧な空間は、視覚的に日本人の美意識に合っているだけでなく、ご近所の人とのちょうどいい歓談の場となるなど、あるべき日本人の暮らし方にも適っています。日本の家の造りや独特の空間も、日本人特有の美意識や暮らし方も、そもそもは日本の気候風土に由来します。

住宅の設計にあたって、サン工房の建築士はだれもが、まずはこの「日本の家」の生い立ちとその意味を再認識することから始めています。

窓の役割

日本の「窓」は、「間戸」。

庭に面した大きな窓のある和室

窓は本来、壁や屋根に空けられた穴のことで、この概念は西洋のもの。石や煉瓦を組積した壁を基本構造とした西洋建築では、壁に窓を空けることは工法的に難しく、大きなテーマでした。

その点、日本の伝統的家屋の構造である木造架構式の場合は、まず木材で柱や骨組みを作ってから、屋根をつくり、そのうえで柱と柱の間を壁や建具で埋めていきますから、窓を空けるのではなく、むしろ空いているところをふさぐことによって窓が出来ました。

ですから、日本に「マド」という言葉が輸入されたとき、それに相当するものがなく、柱と柱の間(マ)に設けられる戸(ト)という意味で「間戸」と名付けられたそうです。また、日本は温暖な島国であるため、外敵から身を守る必要がなく、自然と一体化して暮らすという考え方や、夏の暑さ・湿気対策のために、垣根を外壁と捉え、内壁はできるだけふさがない、開放的な造りがよいとされていました。

「日本の家をつくる」を住まいづくりのテーマとするサン工房では、住み手の意向に合い、かつ建築的条件が許す限り、庭に面した壁には、できるたけ大きな窓を設け、庭(=自然)と室内が意味的、視覚的に一体となった、その成り立ちと気候風土の導く「日本の家」を建てています。

格子の効果

区切りつつ、つながりつつ。

格子戸で柔らかく区切られた和の空間
繊細な格子デザインのディテール
光と風を通す格子の内観

部屋と部屋を壁で区切るのではなく、格子や格子戸で区切ると、双方の空間につながりを持たせつつ2つの室をつくることができます。格子で区切られたことで、それぞれの部屋は明らかに別の用途を持った空間となりますが、光と風を通す格子によって、つながりも生まれます。このような格子の性格は、日本の伝統的建築の中で生まれた空間を区切る手法の一つである「結界※」の考え方が典型的に表れたものだと言えます。

別々の空間でありながら、つながりを保つ必要がある場合の区切りとして格子は有効です。そして何より格子には凛とした美しさがあります。同時に曖昧な区切りとしてのやさしさがあります。そう感じるのは、格子が日本建築の永い歴史の中から生まれたものだからでしょう。住まいには優れた機能性とともに、意匠性の高さも必要だと思います。華美でも豪奢でもなく、日本人の琴線に触れ、気持ちを穏やかにするような美しさでありたいもの。

「きれいな家をつくる」これもサン工房の大きなテーマです。

※【結界】本来は仏教用語で、聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ること。また、寺院で、内陣・外陣、僧・俗を分けるために設けられた木の柵。これが派生して生まれたものに「襖」「障子」「衝立」「縁側」などの仕掛けがある。

家の構造と家族関係

気持ちをつなぐ、
空間のつながり。

吹き抜けでつながる家族の居場所
一体感のあるオープンな居住空間

家は何のためにあるのでしょうか。現代においてはただ単に雨露をしのぐためだけのものではありません。もちろん中には見栄や資産保有のための家もあるでしょう。しかし基本的に家というものは家族が家族らしく過ごすためにあるのではないでしょうか。“家族が家族らしく”過ごすということは、常に家族を肌で感じ合いながら過ごすということ。つまり、家族のためのいい家とは、家族みんなの気配が自然に感じられるような家ということになります。

私たちサン工房が設計する家族のための住まいの多くは、トイレや浴室、夫婦の寝室といった最低限のプライバシー空間だけを個室化させ、それ以外の空間はできるだけオープンまたはセミオープンとしています。また、1階と2階の間でも家族のつながりが生まれるように、視線や声が行き交う吹き抜けを設けるなど、立体的な空間の一体化も積極的に採用しています。

もちろんこうした家のつくりだけで、必ず家族関係が良好に保たれるとは言えません。しかし、家族が家族らしくありたいと願う上では、家のつくりを細かく仕切るのではなく、なるべく大きな空間で構成するという“ワンルーム化”は、ひとつの良い方法だと思います。

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