手書きの温度

やっぱり、手で書く事を大事にしたい。

様々なテクノロジーが日々進化し効率化され便利になる中で、よりそのような想いが増してきました。

例えば文字。
手書きの文字にはその人の人柄やその時の感情や想いが筆に転写され、温度のようなものを感じます。手紙は勿論ですが、メモ書きひとつとってもです。それは文字だけではなく、私たちが大事にしている図面にも同じことが言えます。

現状はコンピューターを使い殆どの図面を作成していますが、拡大や縮小、複写、削除、転送…などなど効率も良く、正確で便利です。ですが、拡大や縮小を自在に出来るが故に、今、縮尺が何分の1の図面を書いているのか「寸法」に対しての感覚はそこにはありません。特に住宅設計においては、人が暮らす場であるので寸法と身体感覚を一致させなければ良い設計は出来ません。

手書きの場合は、縮尺が固定されますので、寸法感覚が自然と身に付いていきます。そのうち物差しに頼らなくても、間違った寸法や間取りの違和感など感覚的に気付くようになります。

また、図面全体を見渡しながらバランスをみたり、図面上で人を動かしてみたり、寛がせてみたり、風を吹かせてみたり、書いた図面をぐるぐる回して様々な角度から見てみたり。

手書きの図面には、文字と同じく人の温度のようなものを感じます。
それがそのまま完成した家にも、その温度が宿るような気がします。

最新のテクノロジーを活用しながらも「手書きの温度」もこれからも大切にしていきたいと思います。

岡本茂揮

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