施工
伝統技術の採用。
サン工房のつくる家には、継手や仕口といった職人の技と経験を生かした伝統的な大工仕事が数多く取り入れられています。これによって材と材をがっしりと確実につなぎ、丈夫な骨組をつくりあげるのです。
さらに、柱や梁などの構造体を天井や壁で隠してしまわず、表に出したままにしておく「あらわし」を採用することも多いのですが、こうすることで無垢の木がいつも空気に触れ呼吸を続けるため、木材本来の耐久性が保持されるのです。つまり、日本建築ならではの見事な軸組の美しさで目を楽しませてくれる「あらわし」は、「丈夫で長持ちする家」の実現にも役立っているというわけです。
こうしてつくられた丈夫な家をさらに長持ちさせるには、きちんと手を入れることが大切です。そしてまたこの点でも「あらわし」はメリットを発揮します。つまり、柱や梁を「隠さない」ことによって、耐震性や耐久性に大きな影響を与える家の骨格ですら手入れの対象となるのです。
さらに、家の骨格がつねに目に見えているということは、肝心な部分に隠し事がない家ということでもあり、どこかしら安心を感じながら住み続けられることにもなるのです。
「手仕事」というアート。
仕事には、その人があらわれるといいますが、それが手仕事となればなおさらです。心持ちが穏やかでなければ、素材を穏やかに扱うことはできませんし、精神が研ぎ澄まされていなければ、精緻な細工はかないません。
ご存知の通り、英語でいうアート=ARTは、一般に芸術、美術と訳されますが、もともとは「業、技」の意を語源としているといわれます。材を正しく読み、材を厳しく選び、材をしなやかに操る技は、まさにアート。そうした視点から家づくりを眺めてみれば、住まいはさまざまな職能たちのコラボレーションの結晶ともいえます。
大工も、左官職も、板金職も、屋根職も、建具職も、さらにそうした職人たちを率いて普請の全責任を負う棟梁も、家づくりに関わる仕事は、すべて専門職です。それぞれの腕一本で仕事をしている人たち。すなわちその「腕」の確かさこそが、家づくりでいうところの柱や梁、すなわち基軸であるというわけです。昨今、機械化が進んだとはいっても、まだまだ手作業が多い現場です。
そして、長年の経験がおしえるコツ、数字には表れない「勘どころ」が、モノをいう現場でもあります。そして、時には職人の立場から、製品を指定したり、材の交換を要求することもあります。さらに設計士や住まい手とのやりとりを求めることもあります。しかし、どんな時もその視線は、ただ一点のみ。その腕の誇りにかけて、住まいづくりに臨むこと。継手や仕口ががっしりと組まれた時、美しく滑らかな壁が仕上がった時、その空間はようやく図面を離れ、住まい手のものとなります。
唯一無二の職人技を
次世代へ。
前述のようにサン工房のつくる家には、数多くの「職人技」が生かされています。それは、先人から代々受け継がれながら、時間や風土に磨かれてきた唯一無二の技。そして、この代替のきかない技を継ぐのが「職人」です。
サン工房の家づくりは、道具さえあれば、人数さえ揃えばできるものではなく、確かな技術と豊富な知識を備え、経験を積んだ者だけが身につけた職人技なくしては始まりません。だからこそ私たちは、若い世代に熟練した職人の技術と知識、経験を引き継いでもらうため、そのサポートにも取り組んでいます。
手で刻む
手刻みとは、大工が墨をつけ、のこぎりやカンナ等の大工道具を駆使して木材を建築部材に加工する昔ながらの伝統技術です。無垢の木はその1本1本が異なる性質、くせをもっていて、大工はそれを自分の目で見極め、それぞれに見合った加工、手刻みでなければできない継ぎ手仕口加工をしていきます。
仕口
2つ以上の部材を、角度をもたせて接合したものを仕口といい、仕口の作り方によって軸組あるいは、建物全体の強度にも影響します。職人技の見せ所で、完成後は人目に触れることはありませんが、美しさと強さを兼ね備えています。
込栓
土台・桁に差した柱のほぞや、柱に差す横架材のほぞの抜けを防ぎ、緊結するために打ち込む栓で、角形や丸形の形状があります。込栓穴は、2つの材が引き合うように微妙にずらしてそれぞれあけ、わずかにテーパーを付けた込栓を打ち込むことによって材同士が引き合い、密着します。
継手
材長寸法を増すために2つの部材を長手方向に接合したものを継手といいます。サン工房では、梁を継ぐ場合に「追掛け大栓継ぎ」という継ぎ方を用います。引張り力は、よく耳にする「腰掛あり継ぎ」が約480kgという耐力に対して、約4000kgです。同じ木材を使いながらも耐力は約10倍です。これが地震に強い住まいの大工技術といえるでしょう。
長ほぞ
木材を結合する所で、片方の木材の端につくる凸型のことをほぞといい、長ほぞであれば、もし梁成が大きくなって反ったような場合でも、刻んだ時点で狂いが無ければ、ほぞを差していくことによって、反りが修正されます。柱の頭部、脚部のほぞは差込栓をすることにより金物に頼らないで引抜に耐える構造となります。
火打梁
建物の水平剛性を確保するために隅部に取り付けます。よく見かけるのは火打ち金物ですが、私たちは金物と同等以上の耐力がえられ、意匠性にも優れている火打ち梁をヒノキでつくります。