住まいの特徴

私たちサン工房は、長く住み続けるに値する住宅を提供していきたいと考えています。
「長く住み続けるに値する」ということは、物理的に耐久性があり、長持ちするということはもちろん、居住者のライフスタイルの変化に沿って自由に変えていける「可変性」を持ち合わせ、また高齢になった時には、不便なく暮らせる「配慮」がされているということを意味しています。


日本の家には優しさと美意識があった。

 サン工房には、設計事務所という前身から、さまざまな意匠や新製品の情報が日々入ってきます。また、施工に責任をもつつくり手という立場から、新たなテクノロジーや建材の情報も枚挙にいとまがありません。しかしながら、そうした新情報に新たな家づくりのあり方を見ながらも、ここにきて私たちは、あえて「昔ながらの家づくり」を提言したいと思います。私たちの中には、新しい時代の利便性や快適性に驚きとともに圧倒されながら、常に何か大事なものを置き忘れてきたのではないかという問いかけがあります。開け放した夏の座敷で風鈴の音を聴きながら昼寝をする心地よさ、ふらりと立ち寄った仲間を迎える土間の懐の深さ…。そこにあるのは単なる郷愁だけではなく、「日本の家」がもつ優しさや美意識だったような気がするのです。

永い時間の向こうに見えてくる住まいの姿。

 少し前まで日本家屋は、とくに換気をしなくても空気は自然に入れ替わるようにできていました。そこにはすでに気候風土に対する備えがあり、床を高くして地面から離したり、風の通り道に窓を設けたりと、風通しをよくすることに気持ちが注がれていました。その代わりに隙間風が入りやすかったことは事実ですが、土壁や芽茸きが、優れた断熱・保温性能を発揮してくれました。また、バリアフリーという言葉はまだなかった頃から、誰をも優しく迎え入れ、誰にでもこまやかに配慮された、心のバリアフリーは息づいていました。だからといって、芽茸きの家に住もう、かつての民家をつくろう、というのではありません。先人たちが「家づくり」に傾けた精神や工夫に学びながら、今を生きている私たちが心から癒される、また住み継ぐに値する「日本の家」をつくりましょう、と呼びかけたいのです。それはとてもシンプルなことです。身近な材料を使い、日本人のアイデンティティが感じられる、気候風土に適した、心地よく美しい家をつくるということ。「茶の間」や「三和土」「縁側」「大黒柱」など、住まいに関わる言葉を一つ一つ掘り起こしていくだけでも、その姿は見えてきます。
 記憶を重ねていく空間であるために、新しい郷愁をそこから始めるために。日本人の原風景にある家づくりをサン工房がお手伝いします。

材の品質

 「家づくり」には、いくつかの工程がありますが、大きく分けて、設計という二次元で取り組む作業と、施工という三次元に立ち上げる作業とがあります。前者が「考える」ことで問題を解決していく作業なら、後者は「ノウハウ」によって確実に実現していく作業、品質そのものが具体的に問われる作業です。たとえば、木の家づくりは、木という自然の素材を相手にする仕事ですから、工場の規格品のように、サンプル品がそのまま現場に運ばれてくるという具合にはいきません。そうした条件の中で樹種により、部位により、育った場所によって、異なる性質をもった木材の品質を揃える、それも永い必要に応えうる品質を維持するために、サン工房では、独自のルートとシステムを確立しています。
 さらに製材、サッシなどの、材を供給する立場の人々に、できる限り現場を見てもらうようにしています。自分たちの材が、実際に住まいのどこにどう使われているのか。それを知って、次に生かしていくということも、品質を高めるためには大切なこと。多くの人が関わる家づくりだからこそ、そのすべての人に共通意識をもってもらうことはとても大事なことなのです。

技の品質

 大工も、左官職も、板金職も、屋根師も、建具職も、さらにそうした職人たちを率いて普請の全責任を負う棟梁も、家づくりに関わる仕事は、すべて専門職です。それぞれの腕一本で仕事をしている人たち。すなわちその「腕」の確かさこそが、家づくりでいうところの柱や梁、すなわち基軸であるというわけです。昨今、機械化が進んだとはいっても、まだまだ手作業が多い現場です。そして、長年の経験がおしえるコツ、数字には表れない「勘どころ」が、モノをいう現場でもあります。そして、ときには職人の立場から、製品を指定したり、材の交換を要求することもあります。さらに設計士や住まい手とのやりとりを求めることもあります。しかし、どんなときもその視線は、ただ一点のみ。その腕の誇りにかけて、住まいづくりに臨むこと。継手や仕口ががっしりと組まれたとき、美しく滑らかな壁が仕上がったとき、その空間はようやく図面を離れ、住まい手のものとなります。もちろんそうした腕の覚えを保つために、日々の鍛錬と研鑽は欠かせませんし、さらにすべての職能レベルが、横並びで高く均一であってはじめて、住まいの品質レベルは保たれます。お互いがお互いを高め、生かし合うからこその相乗効果もまた、チームとして取り組む家づくりの効用といえるのではないでしょうか。ご存知の通り、英語でいうアート=ART は、一般に芸術、美術と訳されますが、もともとは「業、技」の意を語源としているといわれます。材を正しく読み、材を厳しく選び、材をしなやかに操る技は、まさにアート。そうした視点から家づくりを眺めてみれば、住まいはさまざまな職人たちのコラボレーションの結晶ともいえます。

人の品質

 仕事には、その人があらわれるといいますが、それが手仕事となればなおさらです。心持ちが穏やかでなければ、素材を穏やかに扱うことはできませんし、精神が研ぎ澄まされていなければ、精緻な細工はかないません。さまざまな安全策を講じてはいても、ちょっとした油断が思いがけない危険を呼ぶ建築現場では、そこで仕事をする人々の心の有り様、あるいは健康状態までが深く関わってきます。家というものが「機械」ではなく、「人間」がつくるものである以上、まず第一に「人」ありき。腕だけでなく、人間性においても信頼に足る職人であることーこれがサン工房の考え方です。そして、そうした職人たちには、事前に設計施工会議に参加してもらう。これもサン工房ならではのシステムです。設計図書をもとに相互に確認しあい、意見を交換する機会を設けることで、職人は共通意識と施工に対する責任を自覚し、設計士もまた今後の課題を認識することができます。職人の世界に「段取り八分」という言葉があります。これは自分の腕を最大限に発揮するためには、まずは準備が大事であり、いい仕事ができるかどうかは、下準備でほぼ決まるという教えですが、この最善を尽くすための努力を疎かにしないということは、とても重要なことです。前述の設計施工会議もそうですが、現場でも養生をすべきところは丁寧に養生し、その場を整然ときれいに保つ。そして、さまざまなことに気を配りながらも、細心の注意のもと、自身の仕事に専心する。ー言葉にすれば、あたり前のことばかりですが、あたり前だからこそ大事なことです。そして、その仕事ぶりは、サン工房の建築現場をご覧になっていただければわかると思います。