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私たちの「しごと」。


私たちの「しごと」。

 江戸時代の格言にこんな言葉があります。「主(あるじ)が七分で、匠(たくみ)が三分」、主は住まい手、匠とは設計者や大工のことで、いい家を建てたいと思うのならば、このぐらいのバランスで、という諭しですが、つくり手が前に出た家にいい家はない、というのは本当だと思います。人が主と書いて「住」とは、言い得て妙。住まい手の思いを受け止め、水面下では汗をかき、誠意を注ぎ、創意工夫を凝らしながらも、やはり隅々に思いが行き渡った住まいであること。それがサン工房のめざす、「しごと」のあり方です。


「責任」の名のもとに。


「責任」の名のもとに。

 1990年5月。私たちは、ある大きな決断をします。といっても、それは決して他者によって強いられたものではなく、目指すべき新しい道を自ら見出した、といったほうが正しいかもしれません。1982年夏の設立時、私たちは、純然たる建築設計事務所でした。住む人の思いに心を開き、さまざまな条件と照らし合わせながら、最上の住まい、最適な暮らしのカタチを考える。無論、こうした姿勢は、今も何ら変わることはありません。けれども、住まいづくりにおいて、もう一つの重要な部分である「施工」については、工務店に託していました。どの設計事務所もそうであるように、それが普通。最初は私たちもそのことをごく当然のように考えていました。しかし、一邸一邸住まいづくりを重ねていくうちに、不完全燃焼のような「何か」が澱のように溜まっていくのを感じたのです。住まいづくりのすべてにきちんと関わりたいーそんな思いが日に日に強まり、やがてその思いから目を背けることができなくなった、設立から8年後のある日、サン工房はついに「設計」と「施工」の両看板を掲げることを決めたのです。言い換えれば、このときが「つくり手」としての真のスタートと言えるかもしれません。以来、私たちは、自分たちで考え、自分たちでつくり、自分たちで責任をとるという、自らのあり方にやりがいと喜び、さらにはプラスのプレッシャーを感じながら、住まいと真摯に向き合い、取り組んできました。住まいづくりのすべてにきちんと関わることこそ、つくり手の本意。それが真の意味での「つくる」行為ではないかと考えています。


「知る」という安心。


「知る」という安心。

 人間とは不思議なもので、良いところばかりを見せられると、もしかしたら何かを隠しているのでは?と「不安」になります。本当?と「疑い」も生まれます。しかし、それとは逆に良いところも悪いところも洗いざらい見せられると、それなりに「安心」できるものです。つまり、問題はその良し悪しよりも相手の姿勢にある、ということです。私たちは、家づくりを不安なままにすすめたくない。一つ一つについて見て、知って、納得して、選んでいただきたいから、プランはもちろん、工法や素材から、金物一つ、積算作業に至るまで、すべての情報を住まい手のご家族に開示します。なかには、「もう、いいよ。まかせるよ。」と苦笑される方がいらっしゃるくらい、包み隠さず事細かに逐一お知らせしていきます。物事にはすべて表と裏があり、メリットとデメリットがあります。他と比較し、きちんと知れば、デメリットに対する不安も解消され、もしかしたらデメリットをメリットに変える手立ても生まれるかもしれません。加えて「知る」ことによって、住まいはますます住まい手の顔になっていきます。我が家をサン工房で、とおっしゃってくださるなら、ぜひ、住まいづくりを学ぶ楽しみも味わってください。


その「想い」からはじまる。


その「想い」からはじまる。

 「家を建てよう」と思う時、その理由や想いは人それぞれだと思います。家族の絆を再確認するために家を建てるのか、安らぎを求めて癒される家を建てたいのか、それとも安心して住める家を求めているのか。そのご家族の家を建てる意図をきちんと汲み取ること、その「想い」に耳を傾けることが、住宅を設計させて頂く際に私たちがもっとも大切にしたいと思っていることです。「絆」を求める家族に「個性」は何の価値もなく、「癒し」を求める人に「奇抜」はマイナスでしかありません。同様に、耐震性を求める人にデザインを売っても仕方ないのです。設計士の「作品」ではなく、「仕事」として結実するためには、何よりもまず、その家族の声に耳を傾けること。聞いて、話して、また聞いて。双方向の関係から、共通意識、共通イメージをひきだしていくこと。住まいづくりにおいて、私たちが最も時間と労力を費やす部分、それが住まい手と、つくり手による「対話」です。


「物語」と呼ばれるもの。


「物語」と呼ばれるもの。

 私たちが「物語」と呼んでいるシートがあります。それは、住む人がどんな家を望んでいるのか、どんな想いを託しているのかを推しはかるためのヒント。ご要望アンケートのようなものです。家族一人一人のこと、毎日のこと、休日のこと、将来のこと・・・。夢の話から現実のこまかな要素まで、さまざまな質問がぎっしり。これは、私たちが住まいづくりを考える上での重要な手掛かりになります。と同時に、住まい手であるご家族にとっても大切な「物語」になるはずです。一つ一つ丁寧にご回答いただくことで、ご家族の今や将来をあらためて確認し、考える。そのきっかけにしていただければ、と思います。ところで、その中の一つにこんな問いかけがあります。<あなたのこれまでの想い出(想い出の残っている場や時間)は、どのようなものですか?>−実は、サン工房が最も大事にしたいこと。その一つがこの「想い出(時間や場)」というものなのです。縁側から眺めた庭の景色や、簾越しの夏の陽、納戸のかくれんぼ、台所の母と交わした会話・・・。おそらくこの問いをきっかけに、多くの方が遥か遠い日に思いを馳せることでしょう。すると、やがて気づきます。想い出の光景は、決してリビング(茶の間)ばかりではなく、ごく何気ない場所にもあることを。だからこそサン工房は、いたずらにリビングの広さ、豊かさにこだわるのではなく、「想いに応える空間」「日々が息づく場所」を育みたいと思うのです。遠い日のささやかな場所にも目を向け、これからを生きる住まいに生かしていきたい。過去から綴られてきた「物語」の、その行間に見え隠れする想いを丁寧にすくい取り、明日の「物語」としてつないでいくための住まいを、住む人と一緒の呼吸で、目線で、紡いでいきたいと思います。


「チーム」として取り組む設計


「チーム」として取り組む設計

 一般と同じく、サン工房も1人の担当設計士が責任を持って住まいを具現化していきます。ただ、そうした個人プレーの中にチームプレーを取り入れてもいいじゃないか、というのがサン工房の考え方。それが毎週月曜日と金曜日の朝に行う「設計ミーティング」です。担当設計士が住まい手の要望や敷地のことなど、概要とゾーニングプランや図面を発表する。これを他の設計士たちとともにそれぞれの視点から確認・検証し、問題を提起したり、ときにアイデアを加えていくというもので、一枚の図面、あるいは誰かの何気ない一言から、クリーンヒットが飛び出したりもします。


敷地に建つ、見る、調べる。すると多くのことが見えてくる。


敷地に建つ、見る、調べる。すると多くのことが見えてくる。

 アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトは、「まず土地を見なさい。土地がすべてを教えてくれるから」と言いました。確かに現場に出向くと、図面上ではわからない、さまざまな発見と出会うことができます。しかもそれは単に「敷地の変形具合」や「高層建物による陽あたり」など、マイナスの条件を探す作業に終始するのではなく、その土地だけが持つ魅力を見つける、いわゆる「地味」を読みとる作業でもあります。「近くのあの大きな木を借景にしたらどうだろう」「遊歩道に溶け込む外観がいいかもしれない」「この眺めを住まいに取り込めたら素敵じゃないか」−土地の成り立ちや視界、匂い、街並み風の抜けを五感を持って知る。それがそのまま家づくりの手掛かり、ヒントになります。すなわちライトの言葉は、真なり。その土地に立てば、そこに建てられるべき住まいの姿はおのずと見えてくるものなのです。また、こうした作業とは別に、敷地の概要や環境、風向き、隣人家に関する調査をはじめ、法令、政令のチェックもあわせて行っていきます。これは「敷地調査」「地盤調査」と呼ばれるもので、ご契約前でも敷地調査は無料で、簡易地盤調査を有料で行っています。そして、法的、物理的に家が建てられるかどうかを見極め、設計に必要なデータを収集・整理します。住まいの理想は、その土地に生えるように建っていることだといわれますが、構造的に、また快適性の上でも、無理のない住まい・空間というものは、なるほど、よくよく地形を知り、環境を知り、気象を知っている住まいです。その土地を正しく読んでいるからこそ、持てる魅力を生かすことができるのであり、一つ一つの条件をクリアし、納得のいく折り合いをつけていくことがはじめて可能となるのです。そして、最初、住まい手が広さや向きやカタチといった、単一な視点でしかとらえることのなかった「敷地」というものを、もっと多面的にひもといて、実質的な検証を加え、さらなる魅力を掘り起こしていくことは、ひいては土地の愛着を育てることにもつながっていくと私たちは考えます。


いちばん大切にしたいものは何だろう・・・。求める暮らしを明確にする。


いちばん大切にしたいものは何だろう・・・。求める暮らしを明確にする。

 敷地のことがわかったら、次は家族の暮らしに視線を向けてみます。まず、毎日の暮らし方を振り返り、そこに今後の暮らしに新たに加えたい要素をピックアップしていきます。ただ、予算や敷地などの問題から、なかなかそのすべてを叶えるというわけにはいきませんから、その中で何を優先するか、これをきちんと考えることが大切です。わが家に一番必要な物は何だろう?二番目に大切な物は?・・・まだ見ぬ暮らし、求めるライフスタイルを家族全員でしっかり見極めることによって、次第に新しい家への思いが輪郭を現し、やがて具体的なカタチになっていきます。そもそも仮にお金の心配も、敷地の条件もなく、何もかもが思いのままになるのだとして、果たしてそんな風に要望のすべてが盛り込まれた住まいがイコール理想の住まいかといえば、それは否。かえって住まい手として必要十分な検証がなされないために、何ともちぐはぐな、後々悔いの残る住まいとなる可能性のほうが高いのかもしれません。条件があるからこそ、求めるものが明確になる、ということがあります。家族の団らんを大事にしたい家なのか、あるいは個人のプライバシーを尊重したいのか、はたまたエコロジーに暮らしたいのか。とにかく求めるものを明確にする。そして、実はこれがローコストな住まいづくりの一番の近道なのです。バランスのとれた住まい。私たちは、常々「バランスのとれた家づくり」をしたいと考えています。この「バランス」とは、住まい手と住まいのバランスであり、土地と構造のバランスであり、相互空間のバランスであり、外観と内空間のバランス、コストと暮らしのバランス、さらに街並みとのバランスでもあって、それはいってみれば、いい家か、そうでないかを判断する指針であるともいえます。最近の住宅は、構造計算などのように、ある部分、住まいというものを「数字」で見ることができるようになっています。しかし、それ以外のほとんどの部分は、「人間的な感覚」でしか、こうしたバランスをはかることはできません。ただ、人間が最も人間らしく暮らす場所、それが住まいであるのなら、それは当然。だとすれば、私たちつくり手がいかに優れたバランス感覚をもって、住まいづくりをお手伝いできるか。これに尽きるのではないでしょうか。検証と裏づけは厳密にしっかり。その上で経験地に基づく、きわめて繊細な判断をもって、住まい手の望むカタチを導きだしていけたら・・・。入念な調査と膨大な資料やデータは、より確かな判断のための一翼。私たちもまた、情報にのみ固執せず、個人の感性に奢らず、つくり手としてのバランスを大切に、住まいを見つめたいと思います。


コストの視界が開けば、住まいの視界も開けてくる。


コストの視界が開けば、住まいの視界も開けてくる。

 私たちは、建てる前と同様、建てた後のことも気になります。せっかく長い時間をかけ、夢を注いで手に入れた家ですから、住まいを慈しみ、暮らしを大いに満喫していただきたい。だからこそ大切なこと、それが無理のない資金計画です。「なんとかなるだろう・・・」「もう少しがんばれば・・・」そうした判断を少しでも誤れば、その後の生活を失いかねません。そんなときは勇気をもって、あえて私たちのほうから「今はおやめになったほうがいい」とアドバイスすることもあります。ただ、すべてをあきらめるのではなく、必要なものをしっかりと見極め、ムダをなくし、創意工夫していくことによって、新しい住まいを手に入れることもできます。いってみれば、そのために私たちがいるのです。素材を吟味選択し、要素の妥当性を検討し、より現実的かつ最大限に希望を叶えるプランへ。ときには壁塗りやサンデッキづくりなど、住まいの一部を暮らしながら自分たちの手で仕上げるという方法を選択することもできます。経験に培われた知恵や工夫によって「いい住まい」は実現できる。私たちはそう信じ、なおかつそれを実践してきました。正しい取捨選択のために、素材・部材の一つ一つについて価格を明確に提示し、あわせて私たちの利益がどれくらいか、ということもきちんとお知らせします。どこの何に一体いくらかかるのか。それをしっかり把握することで「どうすべきか」が見えてくる。コストの視界が開けてくれば、住まいの視界も俄然と開けてきます。




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